特別支援教育士「Bー4学力のアセスメント」についてまとめます。私のまとめです。一緒に頑張っている方、これから特別支援教育士の資格を取りたいと思っている方に少しでも情報提供なればと思っています。
1、学力のつまずきの背景にある学業的技能の問題
1、学力のつまずきの背景にある学業的技能の問題
「読みに問題がある場合、視力や視機能の問題やアーレンシンドロームなどの感覚的な問題についても確認しておく必要がある。」
アーレンシンドロームとは…視知覚障害のひとつで,主に文字の歪み,光に対する過敏性,頭痛等 と身体症状が挙げられる。
「文字または単語の形態的な情報を音に変換する読みのプロセスをデコーティングという。このデコーディングは読みの基本的なプロセスであり、文や文章の意味を読んで理解するという最終目標を達成するための支えとなる。読みの問題の中核であると考えられているディスレクシアは、このデコーティングの障害が主な原因である。」
デコーディングとは…「単語を音声に変換する(デコーディングの)」ということは、先の第一のレベルの読みのこと、すなわち、文字・単語を音に換えることをいいます。 ディスレクシアの人は、文字や単語を見て、それが表す音がわからない、あるいは、音を思い出すのに時間がかかるのです。
ディスレクシアとは…学習障害(LD)の中核で読み書きがすらすらと正確にできない症状です。 全般的に知的発達に遅れはありません。 充分な教育の機会があり、視覚・聴覚の器官の異常がないにも関わらず症状が現れた場合に称します。
デコーディングの処理を説明する代表的な認知モデルとして「二重経路モデル」がある。このモデルでは、「非語彙経路」:文字を規則に基づいて音韻に変換する経路と「語彙経路」:心的辞書を用いて単語をひとまとまりとして変換する経路があると考えられている。
音韻とは…もともと日本語・中国語などで漢字の音を構成する声、音などの総称。音韻認識が弱いと、文字と音を結びつけるのが難しいため、音声を聞いて文字を書いたり、文字を見て即座に読み上げるのが難しいことがあります。
心的辞書とは…個々の人が持つその人の言語能力や語彙知識、単語の意味や関連性などを表す概念のこと。
読解をゴールとした読みのプロセスは、この文字・単語、文・文章レベルでの処理が並行して進行する過程と考えられ、さらに語彙及び特定の知識を必要とする内容の文章であれば内容に関連する知識が影響する。
DSM-5では、限局性学習症の状態像の中に「算数の障害を伴う」が設けられ、さらに、その診断項目として、以下の4項目が設定されている。①ナンバーセンス ②数学的事実の記憶 ③計算(筆算)の正確性や流暢さ ④数学的推論の正確さ 文部科学省の教育的定義では、算数障害を「知的発達に遅れはないが、計算する・推論する能力の習得と使用において著しい困難を示す状態」としており、DSMー5の定義のうち、前述の①~③は「計算する」に、④数学的推論の正確さが「推論する」に対応すると考えられる。
①ナンバーセンス…計算の基礎となる数概念につながる能力。数概念には、序数性と基数性が含まれる。序数性とは、数が順序を表すという性質あり、(「2」の次が「3」など。)基数性とは、数の量的な性質(例:5個)である。数処理も計算の基礎となる。数処理とは、「数の三項関係」を理解することである。(a.数詞 b.数字 c.数量)
②数学的事実の記憶…数学的事実は、「3+5=8」といった、式と答えのセットである。これらが暗算でできることが重要である。
③計算(筆算)の正確性や流暢さ…ここで示されている計算は、主に20を超える数のたし算・ひき算や九九の範囲を超えるかけ算・わり算であり、筆算を使って計算を行うことを想定している。計算の正確さや流暢性に欠ける場合は、手続きの記憶や遂行が弱いことが考えられる。筆算には数概念や実行機能も関与し、書きのスキルも影響する。
④数学的推論の正確さ…計算ができてもそれを応用する算数文章題などでつまずく子供もいる。算数における文章題の解決過程には、文章題を理解する「問題理解過程」と解く「問題解決過程」に区分され、さらに4つの過程(変換過程、統合過程、計画過程、実行過程)にわけられる。
これらの計算する・推論するを含む算数の領域は、文章題に必要なデコーディング、言語理解、高水準の知的能力などさまざまな認知機能が関わっている。さまざまな要因でつまずきが起こることから、幅広いアセスメントが必要である。
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